ファッションの BIFL ブーム

ファッションの BIFL ブーム

今アメリカではファストファッションとは真逆の価値観、BIFL (Buy It For Life) 一生ものアイテムが注目されています。BIFL の価値観は、長持ちする高品質なアイテムを指し、そのアイテムを歳を取っても一生使い続けることのできるものを指します。

その背景には、これまでのトレンドであった安くて流行の早いものを追い、流行が過ぎ去れば捨ててしまうような大量消費ではなく、じっくりと腰を据えて自分の趣味に合ったものと長く付き合うようなミニマリズム、無駄なゴミを出さないサステイナビリティのようなものがあります。

またヴィンテージのアイテムであれば、例えばレアなバンドTシャツなども状態が良いものよりも、穴が空いていたり、摩耗しているような、一種のトラッシュ感が出ているアイテムが高い価値で評価されています。

Carhartt

アメリカのワークウェアブランド、Carhartt(カーハート)が再び注目を集めており、各年代の古着アイテムが日本でも高値で取引されています。私自身も Carhartt のダック地パンツを持っていますが、数年前に比べて市場価値が大きく上がっていることに驚きました。

これはファッションに限らず、あらゆるビンテージアイテムが値上がりしています。

Kapital

そんななか、今年40周年を迎えた日本のデニムブランド Kapital(キャピタル)が、2025年1月、世界最大のラグジュアリーコングロマリットであるLVMH傘下の投資会社、L Catterton により過半数株式を取得され、グループ入りしたというニュースが報じられました。

Kapital はファクトリーブランドで、その技術の高さで世界的に評価されており、このブランドの凄いところはPRをほぼ使用せず、ほぼ服の持つ魅力だけで世界中のアーティストやセレブに Kapital というブランドが届いる点です。

凡人には少し高価であるため、私の場合はデニム・アイテムを買う場合は Kapital か orSlow という、こちらも日本を代表するデニム・ブランドを利用しています。

そして振り返ってみると、確かに Kapital や orSlow のアイテムは質が良いので長く着れるし、もしいらなくなった場合でも中古市場である程度の価格で売れるし、逆に過去のアーカイブが高値で売れるということもあるため、名前だけのハイブランドの服を買うよりも投資価値があるように感じています。

若い世代の人が、ユニクロやGUなどで当たり前のように服を買っていると、似たようなデザインのデニムアイテムが Kapital では10倍ぐらいの値段で売られているため、必然的に高いと感じると思います。

けれど、使用しているデニムの質感などクオリティを見ると全然違うんですね。学生のうちはなかなかお金がないと思うので、ユニクロなどで服を揃えるのは仕方ないと思います。

でもそのままの価値観で大人になってしまうと安いのが当たり前、コスパ、タイパ最高!みたいな、現代的の日本的な思考に陥ってしまうため、それも非常に問題だと思います。

要はバランスで、ジャケットやパンツは質の高いブランドを利用し、シャツやパンツなどのインナーは無印良品で買うとか、無理のない範囲でファッションを楽しむのが良いのではないでしょうか。

BIFLのような価値観も、ある種のサイクルの中にあり、多くの先進国で進む高齢化や、地球温暖化といった深刻な問題とも関係しています。これまで続いてきた大量生産・大量消費の時代の価値観も、これから大きく変わっていくものだと思います。